|
♪♪ 学校では何をリコーダーで教えるのでしょう? |
||
まずこのことから考える必要があるでしょう。 リコーダーの授業は果たしてリコーダーが上手になるための授業でしょうか? 私はそう思いません。 もちろんリコーダーが上手になることは「おまけ」としてあって良いと思いますが、リコーダーを使うことにより楽譜を読む習慣をつけることが最優先されるべきと思います。 歌の演奏の場合は楽譜を読まずとも出来てしまいます。 しかしリコーダーをはじめ、楽器の演奏は(楽譜が読めなくても不可能ではありませんが)楽譜を読むことにより「より早く」習得できるはずです。 楽譜と楽器さえあれば誰から教えられることなく音楽の表現が出来ます。 逆に歌の場合は楽譜があったとしても修練を積んだ人でなければその楽譜のみから正しい音を出すのは難しいものです。 以上の観点から私はリコーダーを練習すると同時に「楽譜を読む習慣」をつける(読めるようになるかどうかの結果を急ぐ必要はないと思います)ことが生徒にとって最善の授業と思っています。 楽譜にふりがなを振るのは「愚の骨頂」と思います。 日本の教育行政に携わっている方々は、教科書に載っている音符についての授業(小学校2年生から一応系統立てて書かれています。…この通りの授業が行われていれば中学生で「音符が読めない」なんていう子は出ないと思うのですが…笑)があまり実行されていなくても口出しはしませんが、こと「君が代」の授業についてはなぜ口出しするのでしょうね。…ウーン不思議だ。。。 話を戻します。 リコーダーに限らないと思いますが、「出来る」ことが大事ではなく「出来るようになること」が大事だと思います。 楽譜にふりがなを振れば確かに「読める」でしょうが、それは「楽譜を読んでいる」のでなく「ふりがな(カタカナ)を読んでいる」だけに過ぎません。 そんな無駄なことを(人前で発表するなどの緊急事態の時は別ですが)普段の授業でやっている様子をよく見かけます。 そういう授業を受けさせられている生徒は決まって次から次へ新しい曲を練習させられるという負担を強いられています。 これでは「音楽が嫌い」「リコーダーなんかやりたくない」と言うはずです。 楽譜が無くても音楽をやっている人はたくさん居るというご意見はごもっともです。 各地にある民族音楽の類やジャズは最初から楽譜を使いません。 しかし、これらの音楽は伝承という形でしか伝える方法はありません。 その伝承者が存在しなくなった時にその音楽も消える運命にあります。 また伝承の段階で少しずつ姿が変ってしまう(だから良いという考えを否定しません)場合があります。 西洋音楽が世界中で表現されるのはひとえに「楽譜」の存在によると思います。 そしてリコーダーは西洋で生まれた楽器です。 はたしてリコーダーは本当に旋律楽器なのでしょうか? バロック時代にリコーダーは確かにメロディーを受け持つ楽器として使われ、楽器自体もその期待に応えるために改良(この言葉は必ずしも良くなることを意味しません)されました。 しかしリコーダーが生まれた当初は「ハーモニー」を奏でることが主眼でした。 ルネッサンス・タイプ(バロック時代より前のリコーダー)が音色も柔らかく8種類(歴史的には9種類)のサイズがあるのはその為です。 バロック時代にメロディーを受け持ったのは主に「アルト・リコーダー」でした。 この頃にはリコーダーの音域は広がり、音色もそれ以前に使われていた*ルネッサンス・タイプに較べて鋭くなりました。 今学校で使われているリコーダーは**バロック・タイプ(指使いに関わらず)のものです。 しかし基本的にリコーダーはアンサンブルの楽器と捉えるべきではないでしょうか? そう考えるとリコーダーの授業はメロディーを演奏させるよりハーモニーを担当させたほうが本来の美しさを楽しめるはずです。 そして、ハーモニーをメインに演奏するならば難しい指の動きはずっと減るはずです。 ♪リコーダーの演奏しますかで書いた「家庭からリコーダーの音が聞こえない」というのは、多くの方が学校の授業でリコーダーで奏でるハーモニーの美しさを体験することなく、難しいメロディーを(大げさに言えば)泣きながら練習したという忌まわしい思い出があるからではないでしょうか? とは言っても、リコーダーをやったために音楽の道に入った(私自身がそうです)という話も聞きます。 でも、はたして「リコーダーがなかったら別の道を選んでいたか?」と訊かれると返事に困ります。 いずれ小学生の時から楽器(この言葉は曲者です…リコーダーは永い時間生き続けてきた立派な楽器です…もちろん「バロック式」のリコーダーのことです)に触れることはそれだけで十分良いことをしていると言って良いでしょう。 *ルネッサンス・タイプのリコーダーはリコーダーの管の内径が歌口から下に向かって同じくらいの太さで作られています。 **バロック・タイプのリコーダーは下に行くに従って細くなっています。 これは高い音を出しやすくするためです。…「低い音より高い音が大事」の発想があります。 このページのトップへ |
トップ | 演奏しますか | 学校では | 間違い | なぜ難しい | なぜ優れている | 指導法 | アンサンブル | 教本 | リンク |
Da Capo |