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♪♪♪ 
*「ドイツ式指使い」のリコーダーが子供には簡単という大きな間違い
*「ドイツ式指使い」リコーダーのことを「ジャーマン式」という場合があります。 
 でもこれって「イギリス式」と言うのを「イングリッシュ式」と言ってるようなものです。 
こんなことは取るに足らない現象ですが、私は「ドイツ式」という言い方をします。
また「イギリス式」と「バロック式」は、厳密に見ると違うのですがほぼ同じです。
ここでは一般に言われている「バロック式」を「イギリス式」と同一として考えます。
さて、そろそろ本題に近づいてきました。 少し怒っている状態ですので「暴言」が有るかもしれません。
その節は平にお許しくださいm(_ _)m。

私は小学校(主に3年生)にリコーダーを教えに行くことがしばしばあります。 そこで使っているソプラノ・リコーダーは大半が「ドイツ式指使い」のものです。 いくつかの地域では「バロック式」を採用しています。 

私が調べた範囲では(時期により異なる場合も有るかもしれませんが…)次の地域がバロック式を積極的に採用しています。

札幌市函館市 北海道 ほぼ100%の小学校でバロック式を採用
新潟市 新潟県
諏訪市 長野県
横浜市横須賀市平塚市秦野市 神奈川県 ほぼ100%の小学校でバロック式を採用
羽村市、稲城市 東京都
鳥取市 鳥取県
松江市 島根県

他にもバロック式を採用している学校の多い地域をご存知の方は是非こちらまでご連絡をお願いいたします。
日本全体ではバロック式リコーダーの採用は
20%弱のようです。


一方世界に目を向けると…表の右側がその国全体のリコーダーに対するバロック式ソプラノ・リコーダーの割合…

イギリス ほぼ100%
アメリカ 90%
オーストラリア 90%
台湾 85%
フランス 80%
カナダ 70〜75%
スイス 60%

イタリア、スペイン、ドイツ、北欧の国々では20〜30%のようです。
韓国は70%位という話もありますが、正確なところは不明です。

以上の資料(2006年8月現在)を提供してくださった関係機関には心より感謝いたします。

一説によると「経済的に余裕のある地域にバロック式が多い」というのですが・・・なぜ?
ご存知の通り、ドイツ式とバロック式は穴の大きさ(開き方)が違うだけです。
製造コストも同じはずです。 それが証拠にどのカタログを見ても同じ値段です。

その説が本当なら「イギリスは経済的に余裕があり、ドイツ・イタリア・日本は余裕がない」ということになってしまいます。
でもこの話には裏付けがあるのです。 どうします「ドイツ式を積極的」に採用なさっている方!(笑)


話を戻しましょう。
国内のバロック式を積極的に採用している地域の中でも、特に横浜市は「バロック式」のリコーダーを2年生から使い、小学校高学年でアルト・リコーダーを採用している学校が多いようです。 内容までは把握していませんが、リコーダー教育の理想の形だと思います。

しかし最近では以前「バロック式」を使っていた地域でも「ドイツ式」に戻したという話も聞きます。

その理由はよく言われている通り「ファの音の指使いがドイツ式のほうが簡単だから、子供にはこちらの方が適している」というものです。 その通り!です。 しかしちょっと考えれば誰でも判ることですが、リコーダーって「ファの音」だけしか使わないのですか? ここに根本的な間違い…いや教育者の怠慢…が有ると思います。 なぜならファの音を使うとなると「ハ長調(〈#〉や〈b〉が出て来ない)の曲をやることが前提となります。 そうなると早い段階で「最低音のド」が出て来ることになります。 そして、この音こそ
リコーダーで一番難しい音なのです。

どこだかのTV番組でリコーダーの「低い音を出す裏技」なるものがありました。 目ざとい日本のメーカーは採用するかもしれません(笑)。 でも、そこまで必死になって最低音を出す必要が有るのでしょうか? ここでも「難しいことを強要する」という図式が見えます。

管楽器を少しでもやった方はお分かりになると思いますが、楽器の出せる最低音付近最高音付近の音は「出せる」というだけで、どの楽器も程度の差こそあれいろいろな理由で演奏するのが難しいのです。 良い作曲家はその辺の音は余程の理由がない限り積極的には使いません。 今日までいろいろ研究されてきた楽器ですらそうなのですから、リコーダーという18世紀以前に使われていた楽器の最低音をまだ経験の浅い子供に演奏させるというのは、掛け算九九がやっと覚えられた子供にいきなり2次方程式を解かせるようなものです。 ♪♪ 学校では何をリコーダーで教えるのでしょう?で取り上げた「フリ仮名」と同じく「愚の骨頂」です。

リコーダーの教育は正しい指使いを教えるのが目的ではありません。 指導者は指の間違えを指摘するのが指導の面では一番簡単でしょうが、むしろタンギングがきちんと出来ているかどうかの方が100倍重要なことです。 しかしタンギングは目に見えた授業が出来ません。 一人一人の音を聴いてタンギングが出来ているかどうかの判断を教師がしなくてはならないのです。 高学年になってもタンギングを理解していない生徒を時々見かけます。 そればかりか右・左を逆にしたままリコーダーを演奏している生徒もまだいます。 リコーダー教育が始まって何年経っているのですか?! 大学の教授陣をはじめ教師を指導する人たちはこの長い年月何をしていたのですか!

さて、怒りにまかせていろいろ書いてしまいましたが、冷静に考えると次のようなことが言えると思います。

生徒が未熟のうちはあまり〈#〉や〈b〉が出て来る曲を用いることはないと思います。 その段階では実は「ドイツ式」だろうが「バロック式」だろうが関係ありません。 問題はその生徒が上手になり、いろいろな可能性が出て来た時です。 そうなった時に困らないようにしてあげるのが良い教育ではありませんか? 目の前にあることが出来ればそれでOKという発想ではあまりにも哀しいと思います。

もっとも現場の先生方に問題が有ると言うより、それを求める「強制委員会」や「文句有るのか省」の方針に大きな問題が有ると思います。

話を戻します。 まず〈#〉が一つ出て来る曲をやることになったとしましょう。 そうするとその曲はファの音に#が付くことになります。 この指使いは「バロック式」の方が簡単なのです。 特に高いファの#「ドイツ式」ですと非常に困難な指使いを強いられます。 〈b〉が一つ出て来る曲を選んだとしましょう。 その場合はシの音に〈b〉が付くことになります。 この音の指使いは右手と左手を使って「バロック式」のファの音と同じような指をします。 という事はこの音が出来るならば「バロック式」のファの指は何も問題なく出来るという事です。

たった一つの「ファの音」だけをクローズ・アップして目の仇のように「バロック式のリコーダーは難しい」という理由は何なのでしょう? 全ての子がリコーダーを好きになり上手になるとは考えられませんし、そんなことを考える方がおかしいと思います。 しかし、だからといって先に進んだ時に困るような楽器を生徒に持たせて平気な顔をしている教育って一体何なのでしょう?! そんなことをいつまでもしているから「音楽の授業なんか減らしてもいいのだ」という風潮が出てくるのではありませんか? 
一度は「バロック式」を採用しておいて再び「ドイツ式」に戻したのは教育現場を混乱させただけの愚行としか言いようがありません。 一番可哀相なのは子供です。 初めて触れる楽器のファの音に指を2本余計に使うなんていうことは興味津々の子供にとって取るに足らない困難だと思います。 リコーダーを苦手としている子はファの指使い以外の面でも困難に出くわしていることだと思います。 この指使いだけが困難と考えるのは「ドイツ式」で育ってきた教師の方ではありませんか?

もし最初の段階でファの指がきちんとできなくても良いではありませんか。 いずれ出来るようになりますよ。 3年生の時に漢字を殆ど書けない子でも6年生位にになれば2年生の字は大分書けるようになっているのが事実ではありませんか? そういうのが「生徒ひとりひとりの為の教育」ではないのですか? 「みんな一緒に!」と声高に言っていると「全体主義者?」と思われますよ(笑)。


今から500年位前に人類の知恵から生まれ、その後の200年の歳月の間に洗練されたリコーダーという楽器を日本の素晴らしい技術で安価に誰でも手に出来るようになった。 この幸せを本当に満喫するためにも、もう
「ドイツ式」のリコーダーを使わせるのは止めにしませんか?

ビデオ・デッキのベータ対VHS戦争やパソコンのWindows対Macの戦いですら(それぞれの言い分はよく解ったとしても)我々消費者にとって迷惑な話なのに、しっかりと歴史のある「バロック式」がちょっとした誤解から生まれた(と言われている)「ドイツ式」と競合しているなんて、あまりにも人類の無能をさらけ出していると思いませんか?

ちなみに私はベータ派&Windows派です。…関係ないって…(笑)。


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