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♪♪♪♪ なぜ「バロック式」はファの指が難しいのか。 |
ご存知の方も多いと思いますが、リコーダーの世界ではアルト・リコーダーが中心になって発展してきました。 アルト・リコーダーの音域は人間の声の音域にほぼ一致します。 古い時代では音楽といえば歌でした。 器楽は歌を真似するところから生まれ、やがて楽器の成熟と共に独自の世界を築き上げたと言えます。 バロック時代に作曲された作品の多くはアルト・リコーダーのためのものです。 楽器の大きさに起因する音色やふくよかな音量もアルト・リコーダーがもてはやされた要因の一つでしょう。 つまり、アルト・リコーダー(のハ長調)が一番演奏し易い指使いが長い年月をかけて考案されたのです。 その指使いをそのままソプラノ・リコーダーに当てはめているわけです。 (アルト・リコーダーの運指についてはヤマハのページをご参考になさってください。) アルト・リコーダーのハ長調の指使いでソプラノ・リコーダーを演奏すれば「ト長調」ができます。 つまりソプラノ・リコーダーは「ト長調」が一番得意なのです。 ソプラノ・リコーダーの「ファ」の指はアルト・リコーダーでは「シのフラット」という派生音になります。 ソプラノ・リコーダーの「ファ」の指使いが複雑になってしまうのはそのためです。 たった8つの穴だけで2オクターブ以上の全ての音を出すためには複雑な指使いが当然必要になってきます。 それを何とか統制の取れた指使いにしてくれた先人の知恵と努力には驚くと共に感謝の気持ちで一杯になります。 「ソプラノ・リコーダー」にドイツ式指使いはありますが、それ以外のリコーダーに「ドイツ式指使い」はありません。 この事実は何を意味するのでしょうか? 一つは世の中は「バロック式指使い」をリコーダーの標準としているということ。 そしてもう一つは「ドイツ式指使い」をしてきた方は、将来他のリコーダーを演奏したくなった時は「バロック式指使い」でやり直す必要がある。 ということではないでしょうか? どちらが得かは明白だと思います。 そのうちご紹介しようと思っていますが、その先人の知恵を良く理解せずに目先のことだけで新しい発明を加えてしまい台無しにされてしまったリコーダー(ドイツ式指使いもその一つ)があります。 その楽器は、いうなれば自動車が「水にも入れます」というふれ込みで車体が浮くように作られ、そのためにカーブを曲がるのが困難になってしまったようなものです。 自動車に乗っていて日常的に「川の中にジャブジャブ入りたい」と思います? 入れるにこしたことはないでしょうが、そのために普段走りにくかったら困りますよね。 本末転倒です。 小学校のうちは「自動車で急カーブを切る」ような状況はめったにありませんから、そのような楽器を使っても特に問題は出て来ないかも知れませんが、楽器としてはハッキリ言って欠陥です。 |
Da Capo |